東京

東京という街に住んでもう22年間になるけれど、いまだに東京都民として、住んでいたことによって起こった何かよかったことだとか、嬉しかったことは全くと言っていいほどない。身近にあるものほど、普段から手の届く場所にあるものほどありがたみは薄れる。離れてみて、初めてそのありがたみが分かる。地方に住んでいる若者にとっては東京は憧れの場所だ。渋谷・原宿・池袋、ごった返した都会の喧騒でさえもそれを体験したことのない人からすればきっと新鮮な体験だ。わざわざ年に数回のお祭りを待たずとも、渋谷センター街に繰り出せばいつでもお祭り気分を味わえる。渋谷QFRONTの足下では夜な夜なラッパーたちがサイファーを繰り広げ、スキルをお互いに競い合う。それは実際の所渋谷だけに限った光景ではない。志木にも志木サイファーがいるし、下北沢にも下北沢サイファーがある。それでも渋谷という光景の中で彼らがライミングをしようと思ったのには、どこかしらに「渋谷」というフィールドの持つ特別な何かがあるに違いない。渋谷は原宿ではないし、六本木も池袋も渋谷ではない。吐き捨てられた路上のガムや吐瀉物、街灯に無造作に貼り付けられたステッカーや、ビル群に取り付けられた巨大な電子掲示板はひとつひとつがそれ自体渋谷という街並を構成するパーツだ。こんなにも雑多で途轍もない街がいくつもある。それがトーキョーファッキンシティー。

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